東日本大震災と害獣被害

query_builder 2021/03/13
害獣について
地震被災地のイノシシ

東日本大震災の前後における東北6県の害獣被害は下図によると、東日本大震災が起きた平成23年の翌年は被害金額が突出しているように見受けられます。震災被害による、山間耕作地等の荒れが害獣増加を呼んで一時的に被害が拡大したように写ります。

(東北農政局:東北地域の農作物被害概況(令和元年度)出典)

                     
東北地方の害獣被害の特徴は、下図にある通り、県ごとにそれぞれ獣害を与える野生生物が違うことです。これは、各県特産物に対する害獣の被害額の大きさに由来すると考えられます。

特産物への被害額が大きい害獣が上位に来ています。
青森県:サル(果樹)  岩手県:シカ(果樹)  宮城県:イノシシ(稲)  秋田県:クマ(稲)  山形県:スズメ(果樹)  福島県:イノシシ(稲)

  


  

(東北農政局:東北地域の農作物被害概況(令和元年度)出典)
宮城県・福島県では、イノシシの被害額が上位に来ています。イノシシは本州以南に広く生息する南方系の動物です。足が短いため多雪地では身動きができないほか、雪が多いと地面をほじくり返して餌を取るのが難しいため、積雪の多い東北地方の日本海側や北陸地方には生息していないと言われていました。
近年になり、従来生息していなかった東北地方の日本海側・北東北の青森県や北陸地方にまで生息が確認されています。東北地方の太平洋岸である宮城県・福島県では従来よりイノシシの被害は大きかったのですが、震災翌年の平成24年にイノシシの被害が急増しています。これは、震災における津波や原発での一時避難による住民不在のための荒れ地・放棄地が増加した事により害獣に好都合な生息環境を与えた結果だと推定できます。宮城県では稲作の盛んだった沿岸部が津波による塩害によって、耕作不能となって荒れ地となり福島県では原発事故での長期避難により害獣に住処を与えた結果だと考えられます。
しかし、復興が進み始めた平成25年からは、宮城県ではイノシシ被害は高い被害額ながらも横ばいか減少となっており、住民の努力する姿が浮かびます。また原発事故で帰還困難区域に指定された福島県浪江町などでは、不在の間に繁殖したイノシシの群れが空き家に住み着き畑も荒らされながらも、住民が震災以前の生活を取り戻すため、必死で闘っている様子が報道されました。
東日本大震災は害獣被害の一時的な増加をもたらしましたが、それに負けない住民のたくましさをも証明しました。

NEW

  • 生態音響を利用したシカ対策装置

    query_builder 2021/04/30
  • 鉄道線路の害獣対策

    query_builder 2021/04/17
  • 野生生物の生態(聴覚)

    query_builder 2021/04/06
  • 野生動物の生態(視覚)

    query_builder 2021/04/04
  • 全方位型スピーカーの害獣対策への応用

    query_builder 2021/03/28

CATEGORY

ARCHIVE