「超音波変調技術」について

query_builder 2020/10/09
技術的なことについて
害獣対策

超音波には、
1.周波数が低く測定環境が構築しやすく扱いやすい
2.空気を伝搬媒体とするので波長が短い。
3.周波数を高くするのも可能であるが、空気伝搬(音波・弾性波)の為減衰が激しい。
等の特徴があります。
2.の波長が短い性質は、空気中に存在する物体・事象の種々の測定・センサーにとってその
製品の形状が小さくできるという利点があります。
そのため、超音波は超音波歯ブラシ(デンタルグッズ)・超音波洗浄機(半導体洗浄)
非破壊検査(橋梁検査)・超音波診断装置(メディカル)等民生品から医療用品まで多岐に
渡って製品に応用されています。
光の速さを「光速」と呼んだのと同様に、音の速さを「音速」と呼びます。
音速は1秒間に約340 m進むくらいの速さで、光速の100万分の1しかありません。
単純にその波長を計算すると
λ(波長)=(速度C)/(周波数F)
ですので、光速=3×10^8(m/s)、音速=343(m/s)(温度20度)としたとき
超音波(ここでは周波数40kHzの超音波)の波長は≒8.6mmです。
これはそのまま、製品の一つの仕様である分解能に直結し、この分解能を得るための電波
の周波数は≒35GHz(ミリ波)とざっくりですが計算できます。
空気伝搬には、いろいろ条件・問題がありますが、その応用範囲を広くしているのはこの
波長の短さだと考えられます。
弊社で採用している、パラメトリックスピーカー(消音スピーカー)では、この超音波に
害鳥獣の忌避音声で±10kHzの周波数変調(FM)をかけて、この波を単一スピーカーの
複数合成を行って、空気中に送出することによって、空気の非直線性をおこし、遠隔の
場所の害鳥獣に忌避音声を届け害獣の対策としております。
このスピーカーの特徴は、
1.波長が短いため、指向性が鋭くできる
2.波長が短いため。電力合成が小さい面積でできる
3.指向性を鋭くできることで、忌避音声の聞こえるエリアを狭くすることができる。
等です。
上記の利点により、このスピーカーを使用したエリアでは、害鳥獣のみに忌避音声を届ける
ことができ、周囲の騒音にほとんどならない害獣対策となっております。
上記のスピーカーで最も重要で技術的に難しいのが「超音波変調技術」です。
超音波は一般に長距離の空気伝搬では、その伝播到達距離の確保の為、通常25~80kHzが用い
られており、上記の周波数帯で±10kHzの周波数変調(忌避音声の明瞭度)をかけ、シンセサイザー(周波数安定)にするのは、低い搬送周波数(超音波)に、広い変調をかけるという意味で、技術的には難しくなっています。
このスピーカーは、博物館での狭いエリアでの説明音声・横断歩道での聴覚の不自由な人への
方向指示等に使用されるなど、音波の可能性を引き出してくれております。
今後は、周波数が低いといううことで、技術的には、DSP(ディジタルシグナルプロセッサ)
の出番となり、多方面に応用されると思われます。

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