鳥類の航海能力に関する新しい理論
数年前鳥類の航海能力について新しい理論の発表がアメリカでありました。
それは概略すると、「超低周波を使用して自分の家(巣又は寝床)へ帰っている可能性がある」そうです。
鳥は家(巣又は寝床)の特定の音の特徴を使って移動している可能性があるというのです。
伝書鳩 は、何千年もの間、その航海能力が高く評価されてきました。 彼らは、戦争中のメッセンジャーとして、長距離通信の手段として、そして国際レースでの貴重なアスリートとして活躍してきました.
しかし、世界中にはこれらの鳥を混乱させているように見える場所があります。つまり、まっすぐ家に帰るのではなく、繰り返し間違った方向に消えたり、ランダムな方向に散らばったりする場所があります。
アメリカの地球物理学者のジョン・ハグストラムは論文で、伝書鳩の見当識障害に関する興味深い理論を提案しています。鳥は超低周波の音をたどって自分の家(巣又は寝床)に向かって戻っており、家(巣又は寝床)を「聞く」能力の混乱が帰巣ルートを誤らせてしまうということを述べています。
ハトは 0.05 Hz という低い周波数 (つまり超低周波音) を検出できますが、この機能をどのように使用しているかは不明でした。
10 Hz 未満では、ハトの聴覚は人間よりも少なくとも 50 dB 敏感だということです。
超低周波音と呼ばれるこれらの音波は、人間の可聴範囲よりもはるかに低い周波数で伝播しますが、ハトを含む鳥類はそれを拾うことができると言われています。
鳥類は音を使って、自分の家(巣又は寝床)を囲む地形をイメージしており人が目で家を視覚的に認識しているようなものだということです。
ハグストラムは、その実証のために、超低周波音伝搬の開けた場所と影になる場所を選んでハトの挙動を観測した結果を論文に掲載していますが、影になる場所では、誤った方向へ飛び去ってみたり、帰巣はなかったということです。自然界の超低周波音は、気象パターン、地形の特徴、海の波の活動など、多くのソースから発生します。超低周波音は長距離を伝搬し、発生源から数百または数千 km 離れた場所でも検出できます。論文の実証試験で地球物理の専門家である彼の知見が非常に役立ったようです。
また、別のアメリカの鳥類学者は、ハトの聴覚を外科的手術によってマスクして帰巣行動の追跡を行った所、外科手術をしたハトは帰巣ができなかったと報告しています。
ハトに限らず、海鳥の何千キロもの航海もこの超低周波音での「家(巣又は寝床)のイメージ」をたどる行動の可能性があるということです。
上記の論文は、超低周波音の放射による、害鳥類の撃退ということにも応用できると考えられ、実際に簡易な装置(AD9838DDSと超低周波アンテナで116dBSPL)での営巣バトへの放射ではかなり効果的でした。(3日間ですが超低周波の発射がハトを混乱させたと考えられます)。
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